そして長野

長野である。神城断層で長野はひどく傷ついている。断層の調査・地震の研究は進んでいくが、傷ついた土地は回復しない。地震によって道路が壊れ、山は崩れ、川は暴れ、土地は生活はリスクを背負っている。金があっても復旧工事がなかなか進まないのはわけがある。工事なのだから、重機などを入れるわけだ、今にも崩れそうな土地に。そこには危険が伴う。さらに、雨などが降れば危険はさらに大きくなり、工事を一時的に中止せざるを得なくなる。こういう場面は、自然が相手なので当然多い。こうして傷ついた土地というのは、なかなか復旧が進まないのである。テレビで頑張ろう、頑張ろうなどと言われようが、工事していくのは現場の人間で、命を懸けているわけだが、もちろん生活のためにやっているが、そこでは雨で延期になったり、それこそ晴耕雨読ではないが、命のやり取りは牧歌的な速度でやっていくしかないわけだ。

長野である。仕事で長野に行ってきた。帰りにもちろん観光してきた。長野といえば善光寺である。ドローンである。善光寺では今、ドローンは全面的に禁止されている。御開帳でひどく傷ついている。開帳マンコをちびっこに道具を使ってビラビラをアレされたのである。大人マンコは屈辱に違いない。プライドは傷ついたのだ。ただし、御開帳といっても憑代の憑代らしく、その本尊を覗くことはパンピーには輪廻が何周しても難しいであろう。我々が見ているのは幻か。本物の幻か。牛にひかれて善光寺。仕事帰りに善光寺。ここは入館料が1000円かかる。シンプルな参拝は500円程度だが、やはり観光。そこは山門にも上りたいし、胎内めぐりもシタイのである。オプションは逃したくない。基本的に金を払わぬ限り何もできない寺はブルジョワと呼ばれる(私に)。ブルジョワタイプの寺で、こまごまと金がかかる。最初の参拝量に加え、ご朱印の種類も多く、ご朱印が1枚300円といっても、4枚買えば1200円。これで入館料とあわせて2200円である。寺なのでおみくじも引く。この善光寺、夜には売店が閉まっているが自販機でおみくじとお守りは提供される。親切設計この上ない。うしにひかれて善光寺みくじである。キュートな牛のプリントにおみくじが挟まれている。いろいろおみくじをやってきたが、京都の由岐神社にある天狗みくじ、それから宮崎は青島神社にある鯛みくじは特によかった。天狗みくじは、立派な天狗の生首のキーホルダーで、後頭部におみくじが突き刺さっている。おみやげキーホルダーとしても秀逸なデザインである。気に入っていたがアメリカから留学生が来た時に、弥勒菩薩のお面と一緒にプレゼントしてしまった。鯛みくじは、長さ2m幅1mほどの箱の中に、子供の手のひらほどの鯛の張子がいっぱい入っていて、それを50㎝ほどのつりざおで吊り上げるのである。張子の中におみくじが入っている。これは超キュートだ。青島神社、遠方だがカワラケ割りや変わった植生など、おすすめの神社だ。話がそれた、牛にひかれて善光寺御籤、これも牛がホルスタイン、赤牛、黒毛など、さまざまなバリエーションがありかわいかった。わたしは赤べこが好きなので、赤牛にした。

善光寺、胎内めぐりである。一般的に胎内めぐりは、まったく視界が効かない闇の中を進むものだが、善光寺の胎内めぐりは距離が長い。時間も長い。なにせ混んでいる。進まない。混んでいる中を胎内めぐりすると、もし地震などがあったらパニックが起きそうで恐ろしい。だがもともと修行は危険が伴うものだった。失念。前が女性で時々体に触れてしまい、独身男性として危険度が相当に高かった。善光寺での胎内めぐり、なかなかさまざま恐ろしく、これは胎内めぐり界でも相当にレベルなのでオススメである。個人的には那智神社での胎内めぐりがオススメで、胎内から出た時の谷合の景色が素晴らしいのだ。善光寺は帰りがけに山門にのぼり、長野の町を一望した。雨の長野、悪くない。海沿いの人間からしたら、この景色で海が見えないのは衝撃である。鶴岡八幡宮の階段を登り終えたら鎌倉の町と海が一望というわけではないのだ。そういえば海街ダイアリー、微妙だった。10点中5点。リリーフランキーの演技が本当に良かった。藤沢の関水スポーツが出てきてビビった。

善光寺を退散してから、小布施に向かった。長野駅の観光案内所で、日帰りで観光するならどこ?と伺っておすすめされた場所が小布施だ。葛飾北斎が最晩年を過ごした土地で、要するに画狂老人とか、卍とか名乗ってブイブイ言わせていたのがこの小布施だということだろう。完全に狂っている。長野駅から電車で30分程度だが片道700円近くとられるすごい強気な鉄道がある。昔、島原鉄道に乗った時も「世界で一番値段が高い」と言っていたが、この鉄道もそう名乗っていた。思うところはあるがこれ以上述べない。

小布施では観光ガイドが充実しており、その日のプランを相談すると十分に相談に乗っていただくことができる。自分に関しては美術品と、寺社仏閣を4時間程度で回りたい旨を伝えれば、的確なルートと交通手段を勧めていただき、実際相当に満足することができた。

レンタサイクルを駅で借り、それから岩松院、浄光寺、北斎館を順番に廻った。まず岩松院では葛飾北斎の八方睨み鳳凰図が見られる。天井画で、相当な大きさで睨みをきかせてくる。この絵はお寺で絵葉書が売っていて、さらに北斎館でこの下絵の絵葉書を買うことができる。そのお寺に、別のお寺の人たちが見学でドヤドヤ入ってきてゆっくり見ることができなかった。このドヤ入りのお寺さんたちは実は善光寺で飯食ってるのを横目で見たので、寺の名前なども実は憶えていてメモしている。述べない。

次に浄光寺である。長野の観光案内所では聞かなかったが、小布施の観光案内所ではやたらにおすすめしてくるのでフラッと行ってみれば、なんと国の重要文化財である。入口横でスラックラインという、綱渡りで曲芸するのをスポーツ化したようなものをやっていた。浄光寺である。これが素晴らしく良かった。荘厳さがあるが、かといって多く往来がある様子はなく、地元の人たちに囲まれて過ごしているような、なんとも存在感・信頼感のある地元の大ボスのような感じだった。

スラックラインは無料体験ができたので、おばちゃんグループに混じって参加することができた。おばちゃんたちのアドバイスは素晴らしく、下をみない、前を向く、背筋を伸ばす、立ち止まらずサッサとすすむ、など具体的で的確だったので、結構上手になった気がする。ただし、周りでは細いそのラインの上でトランポリンのように曲芸を決めまくる人らがいっぱいいたので、あまりほめられなかった。

北斎館に行った。北斎館周辺は、倉敷の美観地区のような、古い町並みが保護されているような景観だった。ただし、道路の舗装タイルを木で行ったせいで、著しく劣化している個所が多く、自転車では相当に通行しにくい個所が目立った。北斎館である。北斎の絵をあれほどまとめて見たことがなかったので、本当によかった。wikipedia葛飾北斎の項目に貼られている絵画のほとんどの本物をここで見ることができる。本物を見るとわかるが、構図なども確かにすごいが、北斎は本当に絵が上手い。まとめて見て気が付いたが、北斎はデカ女フェチである。これは間違いない。北斎の描く美人画は相当に背が高い女性ばかりだった。富士山さんは思春期で勃起する諸兄は、北斎で勃起してしまうことだろう。客層はインポテンツが充実した年寄だらけだった。年寄はバスツアーで来ているらしく、絵画をアイフォーンで撮りまくっていた。「あとでバスでゆっくりみよう!」というのを合言葉にすさまじいスピードで、美術館からいなくなった。画像検索でいいのではと思うが、あとから来た別の老人団体もやはり同じことを言って、同じことをしていた。ジェネレーションギャップである。北斎の娘の絵も何点か展示してあった。そもそも娘の絵自体が何点かしか残ってないわけで、やはりこの美術館はただ事じゃないと思った。ミュージアムショップもよかった。僕は勃起しかけたので、美人画の絵葉書を数点買って帰った。地方で行ってみたい美術館と言えばあとは秋田県立美術館で、藤田嗣治の絵で巨大すぎて動かせず、他で展示したことがないという絵があるらしい。行ってみたい。

小布施の最後に、お土産用の栗かのこを求めて、小布施堂に入った。栗かのこは、栗きんとんに栗を入れて煮るという相当に狂った食い物だが、相当にうまい。フランスでもコンフィというのが肉を脂で煮込む料理だが、そういう狂った人間の作る料理はやはりうまい。狂気の淵からイデアアガペー。ガッシボカ、私は死んだ。スイーツ(笑)。栗かのこは大変高級なので、お土産用に2つ買いもとめ、自分は栗アイスを買った。栗のアイスだが、栗のクリームに、栗の刻んだのが入り込んでる栗のアイスである。すさまじく栗だったので、個人的にはまた食べたいと思った。

長野であった。善光寺小布施。1日の観光でここまで満足感があるのはそうそうなかった気がする。東京からの小旅行としては最適ではなかろうか。長野駅小布施駅の観光案内所お姉さま方に感謝。10点中9点。

 

追伸:

飯は朝から食う時間がなかったのでおやきを2回食った。どちらもナス。うまかった。おやきには種類がいっぱいあるらしい。だが、少食なので観光に食事が伴わない。スマヌゥ。

 

2015/07/11 01:00